2013年12月13日

WALKMAN NW-F886 レビュー:買って残念になる音質

さてちょっと間があきましたが、ハイレゾ・ウォークマン NW-F880 レビューの続きやります。

この4週の間にたっぷりと NW-F886 で聴き倒しましたので、音質についての評価もやります。

結論をチョロッと先に言うと『買って残念になる音質』…さてその心は?それは最後まで読むと書いてあります。

- 初回起動時の設定について -

購入して初めて起動した時には、各種の初期設定項目を入力する必要があります。たまに勘違いしておられる方がいらっしゃるんですが、この初期設定の際に充電目的以外の理由でパソコンに接続する必要はありませんし、パソコン側にソニーやグーグル提供の何らかのアプリをインストールしておく必要もありません。設定はすべて端末本体で行います。

長たらしい利用規約を読みもせずにさっさと飛すと(いや、もちろんジックリと読んでも良いですよ…本来は読むべきものです)、まず利用言語の設定になりますが、またしても『日本語』と『英語』しか選べませんので、素直に『日本語』を選択します。

nw-f886-setup-0.jpg

この言語設定については、どうやら内部的には標準的な Android 端末にあるような多国語は全部組みこまれていて単に表示制限がかかっているだけらしく、あるアプリを使うと制限解除が可能という情報を見かけたのでそのうち試してみたいと思います。

次に WiFi の接続設定を行いますが、ここはちょっと前の Android バージョンではスキップできなくなってたような記憶があるのですが、またスキップできるようになっていました。

nw-f886-setup-wifi.jpg

WiFi 接続抜きでは Android の利便性の大部分が死んでしまいますし、本機の場合はミュージックプレイヤーのアップデートすら出来ませんので、いずれ WiFi の接続は必須ではあるんですが、利用できる WiFi が無い場所で初期設定してるようなケースもままありますし、あるいは“急に言われても調べないとパスワードわかんないし何でもエエからとにかく早う音楽聴かせんかい!コラー!!”というようなシチュエーションも有り得ますので、ここはスキップ出来るようになっていてしかるべきだと思います。

WiFi を設定するなりスキップなりすると、次はグーグル先生から「チミはもうGoogleアカウントあるんかね?ン?」と尋ねられますので『はい』か『いいえ』で答えます。

nw-f886-setup-acc-0.jpg

グーグル・アカウントというのは読んで字のごとく Google の各種サービスにログインするためのアカウントで、『ユーザー名(ログインID)』は名前とかハンドルネームとかではなくメール・アドレスになります。

グーグルだからひょっとして Gmail じゃないとアカンのかしら? と思ってしまいますが、Android の端末上で新規作成する場合は自動的に Gmail になってしまいますが、パソコンのブラウザ等でアカウント作成してから既存アカウント扱いで端末に登録する場合は、別に MSN でもヤフーでも他のフリーメールとかのアドレスでも使えます。

端末で操作を全部完結すると“Googleアカウント作成=Gmail作成”となるので両者は同じものかと思ってしまいますが、厳密には“Googleアカウントで利用できるサービスの一つが Gmail”です。

ただ、個人的な経験上 Googleアカウントは Gmail で使うほうが何かと都合は良いようです。そもそも Gmail の受信BOXを見ようとしてログインするとその時点でグーグル・アカウントによるログインをしていることになり…であるならば、Gmail アドレスがあるなら既に Android で利用可能なグーグル・アカウントを持っている、という事になります──ってな事が、まさに上のスクリーンショットの中にも書いてあるんですね、はい。

またもうひとつ重要なポイントなんですが、既に何か Android 端末を持っていてそれの GooglePlay で有料アプリを購入している場合は、そのアプリ購入時に使ったアカウントと同じアカウントを本機に設定すれば、改めて支払いしなくても購入済みアプリをインストール出来ます。逆にもし本機では違うアカウントを設定、あるいは新規にアカウントを作った場合は、以前買ったアプリであっても購入しなおす必要があります。

なおグーグル・アカウントは後から追加することも出来るので、じっくり考えてから後でやりたい場合は初回起動時にはとりあえずスキップすることも出来ます。

その場合まず『Googleアカウントをお持ちですか?』に『いいえ』で答え、次に『今は設定しない』を選択することでスキップして、後で準備出来た時点で設定アプリから『+アカウントの追加』→『Google』と選択することで追加出来ます。

nw-f886-setup-acc-gen.jpg

このようにしてGoogleアカウント設定をスキップしてGoogleアカウント設定無しの状態であっても、とりあえず音楽プレイヤーとして利用する分には特に問題なく使うことが出来ますし、WiFi 接続していればブラウザでネットを見たり、WEBメールを見たりすることも可能です。ただし、GooglePlay からアプリをインストールすることは出来ません。GooglePlay を使うには Googleアカウントの追加が必須になります。

Googleアカウントの設定の後は『位置情報の利用』についての設定画面になりますがこの操作が微妙にわかり辛い。わかってしまえばどうということは無いのですが、要は下三角マーク(▼)でスクロールというかページ送りすると出てくる右三角で次へ進めます。

nw-f886-setup-setting-geo.jpg

この位置情報利用の設定はとりあえずチェックを OFF にしといても OK ですが、GoogleMap アプリを使う場合は嫌でも ON にしないとマトモに機能しません(GPSによる位置特定の速度と精度がものすごく悪くなる)。逆にマップを使う気がなければ常時 OFF でも問題ありません。

位置情報の次は日付と時刻の設定ですが、ここは WiFi 接続が完了している場合は自動で合うはずですが WiFi に接続していない場合には自分で正しい時刻を設定します。

その後『この携帯端末の所有者』なるものを入力する画面になりますが、コレが何モノなのか未だによく判りません。“一部のアプリをカスタマイズする際に使う名前がどうたらこうたら”とかいう説明書きも何のこっちゃ意味がサッパリわかりませんが、現状では何も入れずに空欄でも次に進めますし、空欄で利用上も問題はないようです。

nw-f886-setup-setting-owner.jpg

最後に Google サービスへの同意確認があり右三角で次へ進むといよいよフィニッシュ直前です。

やれやれ完了か、と思いながら『完了』ボタンを押すと…

nw-f886-setup-finishing.jpg

…またしても何かを選択する画面がッ!!

nw-f886-setting-sony.jpg

ヲイヲイ完了したんちゃうんかい!!とツッコみながら読むと、ここまでは Google Android の初期設定だったんですが、この画面は「この際ぜひ SONY へも情報提供にご協力ください!」という内容。『操作履歴の送信』とかなんとなくストーカーっぽくて気持ち悪いので、ここはきっぱりと『いいえ』を選択。ごめんなさいソニーさん。

nw-f886-home.jpg

ようやくホーム画面にたどりつきました。

…なんか画面が暗いなぁと思い、ホームを横スライドすると見慣れた設定ウィジェットの画面のバックライト設定アイコンを発見。

nw-f886-backpanel-set-0.jpg

さっそく明度最大にします。

nw-f886-backpanel-set-1.jpg

明るくなりました。

こうすると当然バッテリの消費は速くなるのですが、個人的には明るさ最大で画面の鮮やかさを楽しみつつネット接続他の管理の方をメインにバッテリをセーブするやりかたが好みです。

この液晶は解像度こそ Z とたいして変りませんが、パッと見でも品質は明らかに向上していて発色がかなり自然な感じなので、せっかくだから明るい画面で見たいですよね。

というわけで、4週もの長期にわたる(?)開封の儀を終了し、ここからはこれまで使っていた Walkman NW-Z1060 と比較しながら NW-F886 がどれくらい改良されているかという点についてレビューしていきます。

- Walkman Z と何が違う? -

ガジェットのライフサイクル的に、初代アンドロイド・ウォークマン NW-Z1000 シリーズからこの機種への買い換えを考えてる人は割と多いような気がします(私自身そうでした)。

そこで、私が今まで使っていた NW-Z1060 (32Gモデル)とスペック的に何が変ったかを列挙してみました。

項目 NW-Z1060 NW-F886 評価
1 寸法/重量 70.9x134.4x11.1mm/156g 59.9x116.6x 8.5mm/103g グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)
2 アンプ "S-Master MX" ハイレゾ対応 "S-Master HX" グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)
3 ハードキー 音量, W.ボタン 音量, プレイヤー操作3ボタン グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)
4 液晶画面 TFT 800x480 TFT 854x480 グッド(上向き矢印)
5 プロセッサ nVidia Tegra2 1GHz T.I. OMAP 4 (Cortex-A9) 1GHz グッド(上向き矢印)
6 バッテリ持続(NCオフ) 34時間(システムアップデート後) 35時間 同等
7 バッテリ充電時間 約5時間 約3時間 グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)
8 NFC(近距離無線通信) グッド(上向き矢印)
9 HDMI出力端子 バッド(下向き矢印)
10 電子コンパス バッド(下向き矢印)
仕様詳細リンク NW-Z1000シリーズ仕様 NW-F880シリーズ仕様 -

黄色の行は改良された箇所で、灰色は劣化した項目です。

4番の液晶についてはサイズが小さくなり解像度が微妙にかわった事の他に、『トリルミナス(R)ディスプレイのモバイル版』搭載となっており発色が良くなっています。

こうして表にしてみると改良項目は案外多く、費用対効果つまりお買い得感はけっこうあるんじゃないかと思います。これが前モデルの NW-F800 シリーズですと黄色のアゲアゲ項目のうち、1.の寸法と7.の充電時間以外は消えてしまいます。

逆にオミットされてしまった機能もありますが、地味に目立たない消えた機能として『電子コンパス』があります。このため、本機でグーグルマップを使うと自分の立ち位置は GPS でわかるんですが向いている方角がわからなくなる、といったような事になります。

実はグーグルマップの場合は移動している時は加速度を検知して移動方向を表示してくれるので、電子コンパスが無くてもそんなに困らないんですが、例えばストリートビューだとかサードパーティアプリでアッチャコッチャ向きを変えて色んなランドマークやら施設を表示してくれるようなアプリだと電子コンパスが必要なので NW-F880 シリーズではそういった機能は使えない、ということになります(もっとも、そのタイプのアプリはカメラが必須な場合が多いですけど)。

- アンドロイド端末的に、性能どうなん? -

ハードウェア的に大きな変更点として、プロセッサの変更があります。前のモデルまで nVidia の Tegra2 だったのが本機では テキサス・インスツルメンツの OMAP 4 になりました。

これによって何が変わるかのかというと、ぶっちゃけてそんな劇的に目に見えてスゲェ!!というほどの変化は無いです(ええっ!?)。

ただ、プロセッサに統合されている GPU が nVidia 系から PowerVR 系になるため、3Dゲームなんかではテクスチャの見た感じが若干雰囲気違ったりする可能性はありますね。

両者のカタログスペック的な速度は似たようなモンだとされてますが、OMAP 4 のほうがモバイル寄リにオプティマイズされていて体感上は速く感じるなどと言われることもあるようです。そう言われると、なんとなく Z と比較して動作がスムースになったかなーという感じはしない事もないです。

RAMも以前のモデルの512MBから1GBへ増加してるようですが、これにより今まで開けなかった巨大データが開けるようになったり、マルチタスクで別アプリから戻ってくるとアプリが再起動している(メモリ不足のため勝手に終了している)、というようなことは減るかもしれませんね。

本機は Android 搭載なのでどうしてもスマホと比較したくなりますが、最新のスマホほどのスペックはなく正直やや型落ちクラスのスペックではあります。…が、3Dゲームアプリなどを遊ぶのにも不足のないスペックはありますし音楽プレイヤーとしては申し分無いかと思います。

ただ、カメラが無いので例えば WiFi ルーターと組みあわせてスマホ的に使おうとすると、そこらへんがネックになってくるので注意が必要です。

搭載されている Android OS は Version 4.1 で、最新ではありませんがほぼ現行版の OS となります。

日本製アンドロイド端末の出始めの頃とは異なり、NW-F880 組み込みの Android はソニーによる積極的なOSカスタマイズはされておらずほぼグーグル提供の素の状態のままに見えます。なので、GooglePlay で提供されるたいていのアプリは不具合なく動きますが、本機はカメラが無いのでカメラを要求するアプリは動かない(そもそも検索で出てこない)か、動いても意味がないので注意です。

最近のソニーはえらくヤル気マンマンなので、OS バージョンアップの可能性もやや期待出来ますが、今のところ本機に関して Android OS バージョンを積極的に更新していくというアナウンスはされておりません。

- ドロイド君とかそんなんはどうでもええねん、音どうやねん音はっ!!?? -

まぁ、アンドロイド君はオマケみたいなもんで、やっぱり皆が気になるのは音ですよね。NW-Z1060 と比べて音質はどうなったのか? そこを語らないことには本機のレビューは意味がありません。

ただオーディオの音質の評価はどうしても主観の世界になってくるので、好みや認識の個人差が大きくて文章で伝えるのが非常に難しいというのも事実です。よって音質については、あくまでもワタクシの聴覚上の主観的な印象による感想の話になります…

…などと、ズル賢くあらかじめ逃げ口上を打った上で、コンポ・オーディオで育った平凡な耳の持ち主であるワタクシの評価を述べましょう。

NW-F886 の音質。これ明らかに Z より良くなってます。

何年か前にアンドロ君ではないメモリウォークマンである NW-A846 の音を初めて聴いた時に「おッ!これはいままでの mp3 プレイヤーとは明かに違う!」と感心したのを覚えていますが、NW-F886 もそれに近い感触がありました。

全体のおおまかな音の傾向としてはほぼ NW-Z1060 のキャラクターを引き継いでいて、極端なチューニングの違いは無いのですが(よってエージング無しですぐ耳に馴染みます)、まず一聴して気がついたのが、低音が自然にリッチになっているという事です。イコライザーあるいはそれに準じる周波数変換の操作で低音を太らせると不自然にモコモコと低音が厚くなりますが、本機の太さはそういう不自然な強調でない、空気感のある太さなんですね。

一番これがわかるのが、サンバの重要なリズム楽器であるスルドの音で、スルドの音ってオーディオで再現すると痩せてしまって空気全体が震動してるような感じがどうしても欠けてしまうんですが、ポータブル機のmp3のファイル再生なのに、ここまでスルドの音を表現出来ているのはなかなかスゴイと思いました。つまり、スルドの音を鋭く再現してい…イヤ、なんでもありません。忘れてください。

同様に、ベースとバスドラがユニゾンしているようなパターン…というのは軽音楽では基本中の基本のパターンですけども、これの聴き心地が引き締まった感じになってリズムパターンの疾走感が心地よく感じられるようになっています。

また乾いた音のパーカッションの早いフレーズとギターのカッティングが絡むようなサウンド…っていうのは典型的なサンバとかボサノヴァ的な楽曲ですけども、こういうサウンドでは全体の空気感が増してリズムのノリも良く感じられます。

トータルでみると、アコースティック楽器中心の特にパーカッションが多い楽曲において音質の向上が感じられる傾向で、まさにサンバやボサノヴァに最適化されたようなチュニーングではないかと思いました…ん?むむっ!!なるほど!!だから ぴかぴか(新しい)FIFA WORLD CUP BRASIL 公式 mp3 プレイヤーぴかぴか(新しい)なのかあーっ!!(前回のエントリ参照)

本機はハイレゾ対応機種ではありますが、今のところハイレゾの手持ちコンテンツが無いのであくまでも既存のmp3ファイル(大半が 192k-320kbps 44kHz の mp3)を聴いての結果がこれなので、この音質改善はたぶんデジタル・アンプ S-Master HX の電源部の改良による効果が大きいのじゃないかな、と推測しています。

ソニー公式の宣伝文句によると S-Master HX ではアンプの電源を4つにする事でステレオの分離を良くしているということですが、Walkman Z まではクリア・ステレオを入れて常用していたんですが、NW-F886 ではこれはもう OFF で良いと感じました。

NW-A846 ではイコライザーで若干音質を補正して常用していて、次の NW-Z1060 ではイコライザーは基本 OFF、音源や気分でたまに変える、という感じで使っていました。今回の NW-F886 は Walkman Z 以上に非常にバランス良くまとまっていると感じましたので、イコライザーは基本 OFF で常用する予定です。

というわけで、普通にアンプのアナログ的な性能が向上して音質が改善してるのは確かなんですが、それではハイレゾ対応による音質の改善はあるのか…?これについてはワタクシの感想では微妙にあるような気がする、という程度にとどまります。

ただこの感想は“DSEE HX アップデートの前で非ハイレゾの普通のmp3ファイルを聴いた場合”という但し書きつきです。12月後半と事前アナウンスされていた Fシリーズの DSEE HX のアップデートがつい先日早々に公開となり、最近の SONY なかなかヤルなあと感心しつつも、まだアップデートしておりませんので、DSEE HX についてはアップデート後にまた色々聴いてみて確認してみようと考えております。

DSEE HX は前回のエントリでもちょこっと解説しましたが、非ハイレゾのファイルを再生するときに補完処理をしてハイレゾ相当にサンプルデータを拡張する機能です。DSEE HX を使わない場合はこれまでと同じ非ハイレゾ音源スペックでの再生になりますので“音波形の細かさ”という観点での差は原理的にはでてこないはずですが、デジタルアンプ──というより今日のポータブル向けDACの大多数に採用されているΔΣ型変調方式──の仕組み上、最終的なアナログ波形に変換する際に可聴帯域外の超高周波ノイズ(量子化ノイズ)はフィルターでカットしますがこのフィルターがハイレゾ対応デジタルアンプとそうでないものでは性能が異るため、場合によってはいくらかの音質的な差がでてきている可能性はあるかもしれません。

あともうひとつ、残念ながら加齢によってワタクシの耳の高周波域の聴き取り能力が若いころに比べ劣化しつつあるのは明らかなので、実際には高音域もかなりの改善が成されているにもかかわらずワタクシの耳が聴きとれていない、という可能性もかなりあります…いや、認めたくないが、やっぱりこれが真相かな?

そう考えると自分がオッサンであることが残念になる機種ですねこの機種は。逆にいうと、若い人にはどんどん高音質な音を聴いて今のうちに楽しんでもらいたいですね。ま、オッサンの余計なお世話ですね。

ウォークマン F のレビューはまだ2回ぐらいやります(一応年内で終らせる予定)。


posted by blogsapo at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | モバイル・周辺機器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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